YouTube「おうちで読もう 百人一首 42番 清原元輔」

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契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは

<波は末の松山を越え、冠は落ちるもの?> English subtitles available/日本語・英語字幕あり

 「君をおきてあだし心をわがもたばすゑの松山浪もこえなむ」(末の松山は高台にあるので、波が越えるはずがない、ぼくの心も一緒。浮気なんて絶対しないよ)。「末の松山」は古今集の陸奥歌を下敷きにした、ちょっと特別な地名です。「末の松山を越えたりしない?」「うん、ぜったい越えない」泣きながら約束したのに、いったいどうして。「ちぎりきな」の「き」は直接経験の過去の助動詞。元輔さんの経験談ですって。ほんとかな。

 元輔の娘、清少納言は『枕草子』のなかで「歌よむと言われし末々」(著名な歌人の子孫)と自分のことを言っています。自分がつまらない歌をよんだら、亡くなった父や祖父に申し訳ない、だから、でしゃばって歌を詠みたくないとも。祖父は36番清原深養父。父の元輔は『後撰和歌集』の撰者。あの清少納言に、元輔の子が下手な歌を詠むわけにはいかないと思わせるほど、大きな存在だったのです。

 歌人として尊敬されていた元輔の、冠脱げちゃった事件は『今昔物語集』『宇治拾遺物語』などに載っています。落馬して冠が脱げたのに、見物していた若い殿上人たちに、馬は悪くない!私のあたまには毛がないのだから、冠が落ちてもしかたがない!などと演説してまわって、みんなを笑わせました。(文:野澤千佳子)

★典拠 『宇治拾遺物語』巻13-2 元輔落馬事。『今昔物語集』巻28-6。 歌よむと言われし末々 『枕草子』95段 五月の御精進のほど
★使用した画像 賀茂祭草子 京都産業大学図書館 貴重書電子展示室 https://www.kyoto-su.ac.jp/library/kichosyo/index.html

★「おうちで読もう百人一首」シリーズは、劇場に足を運んでいただけない今、ステイホームのおともとして古典を楽しんでいただきたいと始めました。倉敷の古典の専門家・野澤千佳子が個性豊かな歌人達の面白エピソードを盛り込み脚本を書き起こし、東京の俳優・金子あいが、毎回、和歌の作者として登場。創作の背景やこだわりを生き生きと喋り、撮影、編集、背景のデザインまで全てを自宅で作っています。そして音楽は琴奏者の大月邦弘が出雲から参加!衣装家の細田ひなこが宅配便で衣装を届けるといった具合に、まさにテレワークで作りました。ステイホームが終わってもぜひご家族で楽しんでくださいね♪ 教育現場での活用も大歓迎です。

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出演・撮影・編集・デザイン:金子あい /脚本・監修:野澤(鳥井)千佳子/英語字幕:浜本妙子 /箏演奏:大月邦弘 /衣装協力:細田ひなこ /
2020@art unit ai+

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